メモ

不安な個人、立ちすくむ国家

http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdf

 

巷で話題の資料を僕のSNSでキャッチアップできる程度にまとめて見ました。望月、渡瀬、鈴木さんのブログやインタビューを参考にしました。彼らの言葉から僕の小さな脳みそを整理しまーす。

 

スライドの主な主張

  • 「高齢者も健康な限り社会参加」受益者から負担者に移行する必要がある。なぜなら、働く意欲のある高齢者がいること、そして高齢者に対する社会保障が財政を逼迫させている。
  • 「子供や教育に最優先で成長投資」なぜなら、現在はシルバーデモクラシーの元で子供に対する財政支出は比較的に優先されていない。
  • 「意欲と能力ある人が公を担う」財政制約の元で官だけで公をまかなうことができなくなってきた。そして、民セクターにおける公のサービス供給も行われ始めた。

おそらく言いたいことはこの3つで、そのためにデータやら情報構造を決めたんだろうなと思う。基本的にこの3つに対して批判はしないし、そうあって欲しいなあという価値観を持っています。 細かい批判は以下から見ていきます。

 

 

望月さんによる批判点

hirokimochizuki.hatenablog.com

  • 「財政制約」に関しては税制全般ではなく、税目での検討が必要。
  • 「制度が依存的な弱者を作る」に関しては、制度に頼るべき弱者と、頼らなくて済む強者の線引きをどうするのか
  • 「国家が担ってきた領域の個人による代替」は起こり得るが、社会問題の最大・最終的な解決主体という責任を国家がは逃れてはいけない。

 

望月さんは基本的に賛成していて、議論の甘い部分を詰めている。確かに、「財政制約」の議論を税目別に詰めたことはないので、ここは僕も勉強しなければならないなぁ。望月さんはスマートニュースでNPO関連のお仕事されているそうなので、「強者と弱者の線引き」は、現場にいるからこそ見える部分なんだろうなあ。3点目は正直、「わかってるよw」と言われかねないんじゃないかな。議論を拡充するために付与された気がする。まあ、論理の枠を固めるという意味では重要なのかな。

 

渡瀬さんによる批判点

 「時代遅れのエリートが作ったゴミ」発言者に訊く!若手経産官僚のペーパーに感じた違和感とは。 | 一般社団法人ユースデモクラシー推進機構

 

  • 受験エリートの価値観から見た、上から目線の社会批評でしかない』
  • 『自分たちの「スコープ」に入ってなかった人たちを見つけたことを「多様化」』と言うべきではない。
  • 『なぜ日本は、大きな発想の転換や思い切った選択ができない』の「日本」=「日本政府」
  • 日本政府がはるか以前から「政府」によって私的されてきた課題を放置し続けても政府ならば倒産しない。

個人的にはこの批評の方がしっくりくる。行政のスコープがそもそも狭いのが問題だろって言う話で、これは成長ばかり見ていた経産省の弱さを露呈している。「成長と分配」を掲げたのも最近の話なのだろうか。省内にはソーシャルグッドに興味ある人も増えているそうなので、これからスコープの範囲が広がっていくんだろうと思う。「受験エリート」、「日本=日本政府」という言葉のメタ認知は官僚だけで作っていると気づかない部分なんだろうな。

 

 

鈴木謙介の評価

  • 「AではなくB」を示したことに価値がある。

A.産業構造の変化に抵抗し、誰もが自由で安定した生活を得られる製造業中心の社会を維持する(従来の左派)
B.産業構造の変化を不可避なものとして受け入れつつ、商品化された生活のオルタナティブを目指す

選択肢を理解する――経産省、若手・次官プロジェクト資料について « SOUL for SALE

最後に、鈴木さん。もっと社会学的なこととかいろいろ書いてたけど、後でちゃんと見直すとして 、このAとBはわかりやすい。「商品化された生活」ってワードも素敵やな。このオルタナティブがどれかっていう議論がそのあとされているんだろうけれど、僕には難しいので、本腰入れて読みとかねばならぬ。

 

まとめ

パーっと読んだ時は比較的に資料を肯定的に読んでいたし、基本的な価値観の枠組みには賛成している。ただ、どんなにわかりやすい資料を作ったとしても官僚の視点からくる一般化は「エリート臭」が強いなあという印象